財産調査と遺言書作成
遺言書作成時に、重要となるのは「財産調査」です。財産調査をしないまま、遺言書を作成してしまうと遺言書に記載のない財産が見つかった場合には相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。
相続人同士でトラブルになりやすい遺産分割協議では、ご自身が希望しない形で遺産分割を行われるだけでなく、相続人同士の関係が悪化してしまう可能性があります。
このような事態を回避するためにも、長年放置していて忘れている財産や不備がないように財産調査をしっかりと行い、ご自身の意思を反映した遺言書を作成するようにしましょう。
財産調査において確認すべきポイント
下記では、財産調査を行う際に注意するポイントをご説明いたします。
財産の種類および総額の確認
各金融機関の残高ならびに株式・金融資産の評価、財産の総額についての調査が必要です。
特に、通帳が沢山ある方は一つにまとめておくことをおすすめします。
金融機関は口座の名義人が亡くなり、そのことを知ると口座を凍結してしまいます。凍結された口座から相続人が預金を引き出すのは手間を要しますので、早いうちに金融機関の口座を統合や解約などを進めておくことが大切です。
不動産登記や評価の確認
相続財産としての不動産の価値や売却のしにくさなどについての調査が大切です。
特に、抵当権・定期借地権・底地権等、権利関係のある土地かどうかを早いうちに確認する事が重要となります。権利関係のある不動産は相続人にとって売却や譲渡がしにくいため、活用しにくくなってしまいます。そのほか、相続人にとって価値のある不動産であるかということも大切です。
税金対策の確認
相続税申告が必要な場合の納税資金の調達などについての生前対策が大切です。また、固定資産税を考慮した分割の割合になっているかどうかの確認も重要になっています。
生命保険の契約内容
保険金の受取人が誰になるかなど、契約内容について確認が大切です。
生命保険は、保険金の受取人次第で課せられる税金の種類が異なるため、財産調査の時点で再び契約内容を確認しておくと後々安心です。
上記の点を確認しながら財産調査を行った後は、その内容をもとに「財産目録」を作成しましょう。財産目録がなければ、相続発生時に相続人が財産調査を行わなければならなく、相続人が知らない財産も調べなければなりません。その場合、多くの時間と手間を要し、相続人同士にトラブルに発展する恐れがあります。そうならないためにも、しっかりと財産目録を作成しましょう。
なお、ご自身でも把握しきれないほどの財産を所有している場合には、財産の記載もれを防ぐために「記載のない財産の扱いについて」というようにまとめて記載するのもひとつの方法です。