財産が不動産のみの相続における遺言書活用
不動産は現金や預貯金のように簡単に分割できるものではありません。そのため、相続財産が不動産のみの場合や不動産が財産の大半を占める場合、相続人同士でトラブルが発生してしまう恐れがあります。
遺言書の作成は、そのようなトラブルを回避する方法のひとつとして挙げられます。
ここでは相続財産が不動産のみの場合に起こりやすい揉め事の具体例を取り上げるとともに、遺言書の活用方法をご説明いたします。
父が先に他界していて、母、娘二人の三人家族において母が逝去
【相続財産】実家3,500万円と預貯金500万円 【相続人】長女・次女 |
- 母親と長女は二人で実家に居住中
- 次女は疎遠で、何十年も連絡をとっていない
ここで問題になるのが相続財産の大半を占める不動産(実家)の存在です。遺言書が無い場合法定相続分で遺産分割を行うことになるため、均等分割した2,000万円がそれぞれの取得分です。
例え、居住中の長女が所有権を主張したとしても、次女は権利を主張すれば自分の法定相続分を請求することが可能です。その場合には、「換価分割」または「代償分割」という二つ方法で均等分割を行います。
①換価分割
不動産を売却し、現金化したうえで均等分割
問題点:居住中の次女は実家を追われることになる
②代償分割
居住中の次女が不動産を取得し、差額を長女に現金で支払う
問題点:次女はまとまった資金が必要(最悪実家の売却も要検討)
どちらの方法を選択したとしても、実家に居住中の次女にかかる負担が大きいことは明らかであり、遺産分割について長女と次女が揉める可能性は非常に高いといえます。
このような場合にはで遺言書に「実家は居住中の次女に、その他の財産は長女に譲る」という記載をしておけば、トラブルを回避できる可能性を上げることができます。
遺言書を活用しよう
遺産のほとんどが不動産であった場合は、特に遺言書が大きな役割を果たします。
ご自身の財産をめぐって子供たちが争い、仲違いをするようなことがないよう、生前対策の一環として遺言書を作成することをお勧めいたします。