生前対策における遺言書のメリット
遺言書と聞くと、多額の財産を所有している方や、経営者だけに必要であるというイメージがある人は少なくないと思います。
そのようなことは決してなく、財産の大小を問わず財産を所有している方は生前対策として遺言書を作成しておくことをおすすめいたします。
遺言書を作成しておくことで以下のようなメリットを得ることができます。
メリット1:希望通りの遺産分割が実現できる
遺言書は、ご自身の最終意思として何よりも優先されるものとなっており、財産を「誰に」「何を」「どのように」相続させるのかを決定することができます。
- 自宅は居住中の妻に相続させたい
- 老後の面倒をみてくれている子供に多くの財産を残したい
- 内縁関係にある女性に財産を渡したい
- 経営上困ることになる財産分割を避けたい
- 財産は慈善団体(児童施設等)に寄付したい
- お世話になった人に渡したい
このようなご希望も遺言書に記載しておくことで、実現可能です。
しかし、作成する際は「遺留分」を侵害しないように注意しなければなりません。
遺留分とは一定の法定相続人に認められた、最低限受け取れる相続財産の割合のことで、この割合を侵害した遺産分割を行うと、侵害された相続人はその分を請求する事ができます。
遺留分を考慮せずに遺言書を残してしまうと、トラブルの原因となってしまいますので、相続人以外の方に財産を渡したい場合は特に注意するように心がけましょう。
メリット2:遺産分割協議を回避できる
遺言書を作成しないまま亡くなった場合、所有していた財産は相続人全員で行う「遺産分割協議」によって分割方法を決定することになります。
相続人が複数いる場合や相続人同士の関係があまり良好でない場合には意見が対立し、いつまでたっても遺産分割がまとまらないどころか、激しい相続トラブルとなってしまう可能性があります。
遺言書は相続において最優先されるものであるため、遺産分割はその遺言書の内容に沿って行われます。その結果、相続人同士で揉める原因となる遺産分割協議を前もって回避することができるというメリットがあります。
メリット3:効果的な節税ができる
相続税は財産の分け方によって、大きく金額が変わってしまいます。そのため、遺言書によって財産の分配方法を変えるだけで相続人の相続税負担を減らすことができます。
相続税のことを考慮せずに遺言書を作成してしまうと、想定以上の相続税がかかり相続人の負担が大きくなってしまいます。相続税を最低限に抑える、または無くすためにも遺言書の作成は重要になってきます。
相続税のことを考慮せずに遺言書を作成してしまうと、想定以上の相続税がかかり相続人の負担が大きくなってしまいます。相続税を最低限に抑える、または無くすためにも遺言書の作成は重要になってきます。
詳しくは、相続税対策のための遺言書作成をご覧ください。
以上のことだけでなく、家族へ思いを伝えることができるのは遺言書のメリットといえます。ある日突然に亡くなると、遺された家族が分からないことはたくさんあります。
相続財産のありかや隠された借金の存在など、家族が一から調べるのは非常に困難であり、大変な負担となってしまいます。遺言書の中に、財産目録を作っておくことで上記のような家族への負担を減らすことができます。
また、生前では伝えきれない家族への思いや感謝を盛り込むことにより、遺された家族にとって大変喜ばしいものとなるでしょう。それだけでも遺言書には十分価値があると思います。
もし生前に遺言書が作成されていなければ、相続人の中に未成年者や認知症の方がいる場合には手続きが煩雑になり、相続手続きが遅れてしまう恐れがあります。
遺された家族や親族が財産のことで揉めたり困ったりすることが無いように、元気なうちに準備をしておくことが大切です。