遺言書の作成〈公正証書遺言〉
一般的に広く知られている遺言書(普通方式)として挙げられるのは、「自筆証書遺言(法務局保管)」「自筆証書遺言(自宅保管)」「公正証書遺言」の3種類です。
それぞれ作成するにあたってのメリット・デメリットがありますが、確実な遺言書を残したいのであれば公正証書遺言を選択することをおすすめいたします。
公正証書遺言とは公証役場において公証人が作成する遺言方法であり、公証人は遺言者が口述した内容を筆記します。
また、遺言書の原本は公証人が管理するため、遺言書の隠ぺいや紛失、改ざんされる恐れもありません。
原則では、手続きは公証役場で行わなければなりませんが、病気など外出ができない場合には、公証人が自宅や病院に出張することも可能です。
また、公正証書遺言では手話や通訳を通じての申述、筆談での作成も認められているため、耳が聞こえない方や口述するのが困難な方でも選択することが可能です。
公正証書遺言の作成に必要な書類
- 遺言者本人の3カ月以内にはあこうされた印鑑登録証明書(印鑑登録証明書に加えて、運転免許証、旅券、マイナンバーカード、住民基本台帳カード等の官公署発行の顔写真付身分証明書も併せて遺言書の本人確認資料にすることもあります。)
- 遺言書と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
- 財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票(法人の場合には、その法人の登記事項証明書(登記簿謄本))
- 財産の中に不動産がある場合には、その登記事項証明書(登記簿謄本)と、固定資産評価証明書又は固定資産税・都市計画税納税通知書中の課税明細書
公正証書遺言で作成する場合の流れ
遺言書を作成するにあたり公正証書遺言を選択した場合、以下のような流れで手続きを進めることになります。
- 用意した証人2名以上とともに公証役場を訪問
- 公証人に対して遺言内容を口述
- 公証人が筆記した口述内容を読み上げ、もしくは閲覧により確認
- 問題がなければ証人2名以上とともに署名・押印(実印)
- 法律に基づいて作成した遺言書である旨を公証人が記載し、署名・押印
- 公正証書遺言の原本が遺言者に渡され、公証人の手数料を現金で支払う
相続人の数や財産の内容などにより、公正証書を作成する日数は異なりますが、最低でも2~3週間程度かかると考えると良いでしょう。
その他の要因によっても大きく変動する可能性もあります。そのため、公正証書遺言を作成する場合には時間に余裕をもって作成することをおすすめします。
公正証書遺言を作成する場合の手数料
参考 『日本公証連合会 手数料』
公正証書の証人の人数と条件
公正証書の作成には2名以上必要になります。ただし、以下に当てはまる方は証人になることができませんのでご注意ください。
- 未成年
- 推定相続人
- 受遺者
- 推定相続人の配偶者や直系家系
- 受遺者の直系家系
また、公証役場では証人を紹介してもらうことも可能です。相続に関する相談している士業の方がいれば、証人をお願いする事も可能です。